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(3) 部活動の活動内容・運営面について(紀要58頁)
学校週5日制の導入により、生徒の自由時間も増加しました。図11・12を見て頂きますと、自由時間は増加したんですが、その分平日に長時間活動したいという生徒の欲求が増えてきているのが分かります。さらに平日に活動できない分、今度は逆に休日に活動したい。平成元年から6年にかけて休日に活動したいという生徒の気持ちが強くなってきているのが分かります(図13)。これについては、指導者の意識も同じで、図15・16から平日の活動時間を補う意味で、また生徒の強い希望があるからという理由も急増し、休日に活動している学校が増えてきています。
朝の練習についても同様で、放課後の活動時間を補う意味で、図14から分かりますように朝練をしたいという生徒が増えています。このように平日の部活動が不完全燃焼し、満足のいく結果になっていないため、その分休日に活動したいという生徒や活動させたいという指導者の欲求があります。一方、休日は部活動をしたくないという生徒も少なくはなってきていますが、図13を見ると約4割の生徒が部活動以外の活動への欲求をもっていることが分かります。休日も部活動をしたい、その他の活動をしたい、自由に使える時間がほしいなど、多種多様な生徒の欲求を満たすためには、ただ単に日数や時間だけの問題ではなく活動内容の充実、形態の工夫も必要な改善課題としてあげられると思います、希望加入の導入も改善の1つの方法ではあります。部活動をしたいという生徒の欲求にも答えることができ、部活動への目的意識の低い生徒にとっても、自主的・自発的に部活動に参加できるものと考えられます。
しかし、生徒数の減少により部活動の運営が難しくなり、希望加入制に切り替えられないという現状もあります。これを解消するには体制の改善等大きな問題がありますが、単一学校規模の指導を越えた指導体制の充実も考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

(4) 健康・安全面について(紀要59頁)
生徒が自発的に生き生きと活動するうえで、事故防止に対する取り組みは不可欠のものであります。特に身体的にも精神的にも成長が著しい中学生にとって、事故や障害のない部活動は、彼らを計画的かつ継続的に指導するうえで最も重要なことといえます。今回の調査でも、図17から各学校が今まで以上に事故防止に対する取り組みが行われ、施設などのハード面の充実が進まない分、「グランド整備の徹底」「生徒への安全教育」「施設のローテーション」などソフト面の充実に力が入れられていることが分かります。部活動の指導者は事故や障害の危険性をよく理解し、安全教育を行ってきています。部活動の中での安全教育は突発的事故の予防や、生涯体育の観点からも大切な要素であり、今後も一層意識を高めていくべきです。生徒の安全意識については、図18を見ると「準備運動を必ずやっている」と答えている生徒が年々増加していることが分かります。これは学校や指導者自身の健康・安全の意識の変化から生徒にも徐々に浸透してきているあらわれであるといえるでしょう。ただ、「やらない」という生徒が2割近くいます。中学生のからだは著しく成長して変化していきます。そのため活動前の準備運動は、事故や障害予防のためにも、本運動の補強としても必要不可欠なものであることを今まで以上に指導していく必要があるでしょう。また、活動中の事故や怪我防止に対する生徒の意識においては、図19を見ると「無理な練習はしない」「体調が悪いときは練習しない」が徐々に減少傾向にあり、多少無理をしてでも活動する生徒が増えてきているのが分かります。「特に気をつかっていない」という生徒も相変わらず減少しない傾向があるので、こういう面からも準備運動の必要性を十分に理解させ、安全教育の充実が望まれます。

 

4 おわりに

このように4つの観点から魅力ある運動部活動について考察を試みてきました。生涯体育・スポーツを考えるうえで、過去にはとかく競技力だけを目的にし、生徒の願いや健康面について配慮が欠ける部分がありましたが、指導者の育てるという意識の向上により、成長期である生徒に対して十分に配慮しながら練習日程や練習内容を決定していかなければならないという

 

 

 

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